減価償却とは

減価償却とは、建物や機械設備・車両などの固定資産を購入時に経費計上せずに、数年にわたり経費にすることです。
固定資産は購入した年だけに活用するものではなく、数年にわたり事業の収益に貢献します。
固定資産を購入した年に一括で経費計上すると、翌年以降の収益に与える影響を考慮できず、経営状況の把握が難しくなってしまうのです。
そのため、固定資産を複数年にわたり経費にすることで、収益と正しく対応させます。

減価償却をする年数は、固定資産ごとに「法定耐用年数」が定められています。
法定耐用年数は、国税庁の「主な減価償却資産の耐用年数表」で確認が可能です。

減価償却の対象となるのは、建物のような有形固定資産だけでなく、無形固定資産も対象です。
無形固定資産には以下のようなものがあります。

・ソフトウェア
・特許権
・商標権など

ただし、固定資産であっても、時間の経過とともに劣化しない固定資産は、減価償却の対象外です。
例えば、土地や借地権・電話加入権・書画・骨董品などです。
また、稼働休止中で業務に使用していない固定資産も、減価償却の対象外です。

減価償却の2つの処理方法

減価償却費の計算方法には、「定額法」と「定率法」の2種類があります。

定額法は、固定資産の取得価格に、法定耐用年数に応じた償却率を掛けて計算します。
償却率は、国税庁の「減価償却資産の償却率等表」で確認が可能です。
例えば、耐用年数5年の償却率は0.200なので、50万円で購入した固定資産の減価償却費は毎年10万円です。
定額法は計算方法がシンプルで、ミスが発生しづらいことが特徴です。

定率法は、固定資産の未償却残高に、定率法の償却率を掛けて計算します。
購入当初は未償却残高が多いため、減価償却費も多く計上されます。
固定資産の未償却残高が減ると、減価償却費も減っていくため、資産価値に合わせた償却方法だといえるでしょう。
定額法と異なり、定率法は毎年減価償却費が変化します。
計算ミスをしないように注意が必要です。

減価償却の注意点

減価償却をする際は、いくつかの注意点があります。

①個人事業主は定額法のみ
個人事業主の減価償却は、計算がシンプルな定額法と定められています。
ただし、個人事業主であっても、税務署に届出をすれば定率法での計算が認められます。
また、法人の減価償却は、原則として定率法を採用します。
建物・建物附属設備・構築物・ソフトウェアについては、個人・法人問わず定額法で計算します。

②直接法と間接法
減価償却の会計処理には、「直接法」と「間接法」の2種類があります。
直接法とは、以下のように減価償却費を固定資産から直接控除します。

減価償却費 100,000 / 固定資産 100,000

固定資産の未償却残高が一目で分かりますが、取得価格が分かりにくくなってしまいます。
間接法は、減価償却費を「減価償却累計額」という勘定科目で記録します。

減価償却費 100,000 / 減価償却累計額 100,000

固定資産の取得価格はそのまま残り、現在価格も貸借対照表に記載されます。

③法人は任意で個人事業主は強制
法人の場合、減価償却をするかは任意のため、自由に決められます。
個人事業主は、強制的に法定耐用年数による減価償却をしなくてはなりません。
ただし、10万円以上20万円未満の固定資産であれば、「一括償却の特例」により、3年で減価償却ができます。
また、青色申告事業者は、30万円未満の固定資産は「少額減価償却資産の特例」により、一括での経費計上が可能です。

定率法と定額法や注意点を把握して、正しく減価償却をおこなってください。

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税理士高瀬智亨

税理士高瀬智亨

高瀬智亨(タカセノリユキ)
東京都出身、沖縄県宮古島市在住

・税理士(一番儲かると言われる資産税は苦手です)
・日報コンサルタント(自分の日報は、良くさぼります)
・キャシュフローコーチ(キャシュの重要性を、お金が無くなった今、痛感しています)
・融資spコンサルタント(自分の融資で失敗しました)
・全日本空手道連盟 公認4段位
・TKC全国会会員

主要著書:『小さな会社の決算塾(三修社)』
     『成功する治療院経営バイブル(同友館)』
     『増販増客集(企画塾)』

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